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不定形の極限であって収束するが,ロピタルの定理を使っては極限値を求められない例

$$ \lim_{x \to 0} \frac{\int_{t=0}^x \sin (1/t) dt}{x} $$ は不定形の極限($0/0$型)であり,この極限は$0$に収束する. 一方で分母分子をそれぞれ$x$で微分したものの極限 $$ \lim_{x \to 0} \sin (1/x) $$ は発散する. よって最初の極限の値はロピタルの定理を使っては求められない.

XorShiftの一例が周期最長になることを確かめるPari/GPプログラム

XorShiftと呼ばれる疑似乱数のうち状態ベクトルが64ビットである例を一つとり、これが最長の周期2^64-1を達することを確認する。

\\ determine that order of g equals to n
isprimitive(g, n, e=1) = {
  my(factors, p);
  if (g^n != e, return(0));
  factors = factor(n);
  for (i = 1, matsize(factors)[1],
    p = factors[i, 1];
    if (g^(n/p) == e, return(0)));
  return(1);
}
\\ identity matrix
E = matid;
\\ right & left shift matrix
R(n, k) = { return(matrix(n, n, i, j, i + k == j)); }
L(n, k) = { return(R(n, -k)); }
\\ convert to matrix on F_2
to_f2(mat) = { return(matrix(matsize(mat)[1], matsize(mat)[2], i, j, Mod(mat[i, j], 2))); }

n = 64;
T = to_f2((E(n) + L(n, 17)) * (E(n) + R(n, 7)) * (E(n) + L(n, 13)));
print(isprimitive(Mod(x, charpoly(T, x)), 2^n - 1));

参考:

自然数の定義

順序数

以下の条件を満たす集合$x$を順序数と呼ぶ。

  1. $x$のどんな要素も$x$の部分集合である
  2. $x$は属する($\in$)という関係において整列順序集合である

順序数の間には属するという関係で全順序が定まる。そこで順序数$\alpha, \beta$に対して$\alpha \in \beta$のことを$\alpha < \beta$と書く。

0

空集合$\{\}$は順序数である。そこでこれを$0$と書く。

後続数

順序数$\alpha$に対して $$ S(\alpha) = \alpha \cup \{\alpha\} $$ を$\alpha$の後続数という。

後続順序数

順序数$\alpha$に対して、$\alpha = S(\beta)$となるような順序数$\beta$が存在するとき$\alpha$を後続順序数という。

自然数

順序数$\alpha$は、$\alpha$以下の任意の順序数$\beta \ne 0$が後続順序数であるとき自然数と呼ぶ。

参考文献

  1. Kenneth Kunen (1980) Set Theory - An introduction to independence proofs, North Holland

コメント

自然数とは有限の順序数である、という定義だと有限集合の定義と循環してしまうよなーと思って調べました。

自然数とは$\omega$より小さい順序数である、$\omega$とは($0$を除いて)最小の極限順序数である、という定義でもよさそうですね。

一次分数変換を試すプログラム

f:id:fujidig:20150830162334j:plain

f:id:fujidig:20150830162528p:plain

複素平面上の変換$z \to \frac{z - \alpha}{z - \beta}$を試すプログラムです。赤丸が$\alpha$, 青丸が$\beta$を表し、それぞれをマウスかタッチで動かすことができます。

ミンコフスキーの定理と線形合同法の多次元疎結晶構造

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この記事は次の場所へ移動しました。

http://fujidig.github.io/articles/minkowski-and-lcg.html

R^dのある点列の集積点全体となる集合は?

定義

$\mathbb{R}^d$の点列$\{x_n\}$に対し、この点列の収束する部分列の極限となる点を点列$\{x_n\}$の集積点という。

問題

$\mathbb{R}^d$のある点列の集積点全体となる集合はどんな集合か。

答え

$\mathbb{R}^d$の閉集合である。

必要性の証明

$A \subset \mathbb{R}^d$が点列$\{x_n\}$の集積点全体とする。$A$が閉集合であることを示す。まず、

$a \in A \iff$ 任意の$\epsilon > 0$に対し無限個の自然数$n$が存在して$|x_n - a| < \epsilon$

が成り立つ。

$A$が閉集合であることを示すには$A$の閉包$\bar A$が$A$に含まれることをいえばよい。 $a \in \bar A$, $\epsilon > 0$とする。 閉包の定義より$a$の$\epsilon / 2$近傍に$A$の点$b$が存在する。 $b \in A$より無限個の自然数$n$が存在して$|x_n - b| < \epsilon/2$である。すると$|x_n - a| < \epsilon$が無限個の$n$で成立するので$a$は$A$に属する。したがって$\bar{A} \subset A$である。

十分性の証明

$\mathbb{R}^d$の部分集合に対して、「ある点列$\{x_n\}$の集積点全体と一致する」という条件を(P)とする。

証明したいことは任意の閉集合が(P)を満たすことである。

(P)を満たす集合が可算個あったとき、それらの和集合もまた(P)を満たす。 実際、(P)を満たす集合$A_n (n = 1, 2, 3, \cdots)$があったとき、各集合に対応する点列をうまく一列に並べればよい。

$\mathbb{R}^d$の閉集合有界閉集合の可算個の和として書けるので有界閉集合が条件(P)を満たすことを言えばよい。

そこで$A$を$\mathbb{R}^d$の有界閉集合とする。このとき点列$\{x_n\}$が存在して$A$はその集積点全体と一致することを示す。

$\epsilon > 0$とする。このとき $$ A \subset \bigcup_{a \in A} U_\epsilon(a) $$ が成り立つ ($U_\epsilon(a)$は$a$の$\epsilon$近傍)。

$\mathbb{R}^d$の有界閉集合$A$はコンパクトなので、有限個の点$a_1, \cdots, a_n \in A$が存在して $$ A \subset \bigcup_{k=1}^n U_\epsilon(a_k) $$ となる。

正整数$m $に対して$\epsilon = 1/m $として上の方法で得られる$A$の有限列$\{a_1, \cdots, a_n\}$を各$m $に対して選び$S_m $とする。すると$A$の任意の点は有限列$S_m $の中のどれかの点との距離が$1/m $未満となる。

有限列$S_1, S_2, S_3, \cdots$を順につなげてできる点列を$\{x_n\}$とする。 このとき点列$\{x_n\}$の集積点全体は$A$となる。

実際、$x_n \in A (n \in \mathbb{N})$で$A$は閉集合だから、$\{x_n\}$のどんな収束する部分列の極限も$A$に属する。

逆に任意の$a \in A$に対して$a$は$\{x_n\}$の集積点である。 実際、各$m \in \mathbb{N}$に対して有限列$S_m $の要素で$a$にもっとも近いものを$y_m $として点列$\{y_m\}$をとればよい。 $\{y_m\}$は$\{x_n\}$の部分列であり、$|y_m - a| < 1/m (m = 1,2,3,\cdots)$なので$\lim_{m \to \infty} y_m = a$である。

(証明終わり)

{a_n}の第n項のn乗根がある値に収束するとき隣り合った項の比も同じ値に収束するか

背景

微分積分学においてべき級数の収束半径というものがありますが、この求め方として次の二つがあります。

  • (係数比判定法) $\lim_{n \to \infty} |\frac{a_{n+1}}{a_n}| = l$ が存在すればべき級数$\sum_{n=0}^\infty a_n z^n$の収束半径$\rho$は$\rho = 1/l$である
  • (コーシー・アダマールの公式) べき級数$\sum_{n=0}^\infty a_n z^n$の収束半径$\rho$は常に$1/\rho = \limsup_{n \to \infty} \sqrt[n]{|a_n|}$で与えられる

また、これに関連して、次が成立します。

$a_n \ge 0, \lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = l$ ならば $\lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a_n} = l$

問題

では逆に次は成立するのか、気になるのは当然のことです。

(1) $a_n \ge 0, \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a_n} = l$ ならば $\lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = l$

これについて考えます。

$a_n \ge 0$で $$ \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a_n} = l $$ と仮定します。 このとき、両辺の対数を取ると $$ \lim_{n \to \infty} \frac{\log a_n}{n} = \log l $$ となります。 $b_n = \log a_n$, $k = \log l$とおきます。すると上の等式は $$ \lim_{n \to \infty} \frac{b_n}{n} = k $$ と書き換わります。

今考えているのは $$ \lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = l $$ が成り立つかどうかですが、これは両辺の対数を取ることにより次と同値です。 $$ \lim_{n \to \infty} (\log a_{n+1} - \log a_n) = \log l $$ すなわち $$ \lim_{n \to \infty} (b_{n+1} - b_n) = k $$ です。 したがって、(1)は次の(2)に帰着されました。

(2) $\lim_{n \to \infty} \frac{b_n}{n} = k$ ならば $\lim_{n \to \infty} (b_{n+1} - b_n) = k$

では(2)が成り立つか考えましょう。 $\lim_{n \to \infty} \frac{b_n}{n} = k$ より、$\frac{b_n}{n} = k + c_n$とおくと、$c_n \to 0 (n \to \infty)$ です。 今考えていることは $$ \lim_{n \to \infty} (b_{n+1} - b_n) = k $$ が成り立つかどうかですが、これを$c_n$を使って書き換えると $$ \lim_{n \to \infty} [\{(n+1)k + (n+1)c_{n+1}\} - (nk - nc_n)] = k $$ です。$c_n \to 0 (n \to \infty)$であることに注意して書き直すと $$ \lim_{n \to \infty} n(c_{n+1} - c_n) = 0 $$ です。

したがって(2)は次の(3)に帰着されました。

(3) $\lim_{n \to \infty} c_n = 0$ ならば $\lim_{n \to \infty} n(c_{n+1} - c_n) = 0$

$d_n = c_{n+1} - c_n$とおくと、$c_n = c_0 + \sum_{i=0}^{n-1} d_i$です。 (3)の前件において$= 0$は重要ではなく、$c_n$が収束するという条件に置き換えてもかまいません。よって(3)は次の(4)と同値です。

(4) $\sum_{n = 1}^\infty d_n$ が収束するならば $\lim_{n \to \infty} nd_n = 0$

この(4)にはすぐ反例が見つかります。 $$ d_n = \frac{(-1)^{n-1}}{n} $$ です。 実際、無限級数 $$ \sum_{n=1}^\infty \frac{(-1)^{n-1}}{n} = 1 - \frac{1}{2} + \frac{1}{3} - \frac{1}{4} + \frac{1}{5} \cdots $$ は$\log 2$に収束することが知られています。

さて、振り返ってみましょう。我々は問題を次のように変形していきました。

  • (1) $a_n \ge 0, \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a_n} = l$ ならば $\lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = l$
  • (2) $\lim_{n \to \infty} \frac{b_n}{n} = k$ ならば $\lim_{n \to \infty} (b_{n+1} - b_n) = k$
  • (3) $\lim_{n \to \infty} c_n = 0$ ならば $\lim_{n \to \infty} n(c_{n+1} - c_n) = 0$
  • (4) $\sum_{n = 1}^\infty d_n$ が収束するならば $\lim_{n \to \infty} nd_n = 0$

(4)に反例が見つかったので、結局(1)から(4)のどれもが成立しないことがわかりました。

(4)の反例$d_n = \frac{(-1)^{n-1}}{n}$より、議論を逆向きにたどって(1)の反例を構成すると次のようになります。

$$ a_n = e^{n (1 + \sum_{k=1}^n \frac{(-1)^{k -1}}{k} - \log 2)} $$

これが本当に反例になっているのか確認しておきましょう。まず、

$$ \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a_n} = \lim_{n \to \infty} e^{1 + \sum_{k=1}^n \frac{(-1)^{k -1}}{k} - \log 2} = e $$ より$\sqrt[n]{a_n}$は$n \to \infty$で$e$に収束します。次に、 $$ \lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = e^{(-1)^n} $$ より、$\frac{a_{n+1}}{a_n}$は$n \to \infty$で発散します。確かに(1)は成立しません。

答え

(1) $a_n \ge 0, \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a_n} = l$ ならば $\lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = l$

これは成立しない。