R上の閉集合はすべて閉区間の加算個の和で表せるか?
$\mathbb{R}$上の閉集合はすべて閉区間の加算個の和で表せるか?
答え: No.
カントール集合が反例となる。
カントール集合の定義
区間$I = [0,1]$を3等分して中央の開区間$(\frac{1}{3}, \frac{2}{3})$を除く。残りの二つの区間をまた3等分して中央の開区間$(\frac{1}{9}, \frac{2}{9})$, $(\frac{7}{9}, \frac{8}{9})$を除く。この操作を無限回繰り返すとき残った点の集合$C$をカントール集合という。
カントール集合の性質
カントール集合は無限個の閉集合の共通部分なので閉集合である。
区間を除く操作を$n$回行った直後の集合は互いに重なり合わない長さ$1/3^n$の閉区間の和である。どんな正の数$\epsilon$に対しても$1/3^n < \epsilon$となる正整数$n$をとれるので、カントール集合はどんなに小さい長さ$\epsilon > 0$の区間をも含まない。
カントール集合は$0$以上$1$以下の実数のうち三進表示に$1$が現れないもの全体である。 したがって、三進表示が一意でない実数が存在することを無視すれば、カントール集合の元は各項が$\{0, 2\}$の元をとる数列と一対一に対応付けられる。 そのような数列全体の濃度は明らかに$2^{\aleph_0}$である。三進表示が一意でないものは可算個しかないのでカントール集合の濃度も$2^{\aleph_0}$である。
主張の反証
以上のことより、カントール集合$C$は閉集合であり、これは閉区間の加算個の和で表せないので主張が反証された。
参考文献
- 杉浦光夫(1980)『解析入門Ⅰ』東京大学出版会